アトピーについて

症例の見方

当院では、入院治療されたアトピー性皮膚炎患者さんのほぼ全症例の血液マーカー検査と写真による皮膚の変化を記録しています。単に画像での見た目上の変化だけでなく、体内で生じている免疫的な変化をデータで可視化することで、民間療法や健康食品といったいわゆるアトピー産業とは一線を画しています。

BSCは有効バクテリアを利用した皮膚のケア方法であり、今後、新しい医療分野の1つに育てていきたいと考えています。科学的な論拠と明確な有効性のデータを蓄積したBSCは、今後日本のみならず世界に広がり、ステロイド耐性で苦しんでいる重症アトピー性皮膚炎患者さんの福音になると確信しています。

アトピー性皮膚炎の血液マーカー

アトピー性皮膚炎は、IgEが引き起こす蕁麻疹のように、抗原接触から20分以内に生じる即時型反応ではなく、抗原接触から数時間以降に生じる遅延型反応です。
急性期病変(浮腫性紅斑)はTh2タイプの反応であり、慢性期にはTh1タイプの反応が加わるとも言われています。

TARC(ターク・タルク)  Th2 細胞を刺激するサイトカイン

TARCは、アレルギーを起こすリンパ球を刺激するために分泌される化学物質(サイトカインの1つ)で、アトピー性皮膚炎皮の程度を示す最も鋭敏な指標になります。皮膚の免疫を担当する樹状細胞や血小板から分泌されます。
正常値は成人では450以下、700以上は中等症と判断され、6000以上で重症と考えられています。
※いずれも単位は pg/ml
なお小児の正常値は、6~12ヶ月1367未満、小児(1~2才)998未満、2歳以上743未満と考えられています。

LDH 正常値245以下

細胞が分泌する酵素のひとつ。皮膚炎では細胞の破壊が増加するため上昇し、値の変化は皮膚炎の程度の指標となります。

好酸球(Eosino)正常値7%以下

白血球中の好酸球の割合は、アレルギー体質の程度を反映しています。
好酸球はTh2細胞がIL-5を産生するために上昇し、浮腫性紅斑を引き起こすなど急性期のアレルギー炎症を反映して、IgEとは反比例することが多くみられます。

IgE 特にじんま疹や花粉症等の即時型反応に関与 正常値170以下

Ⅰ型アレルギー反応を引き起こすアレルギー抗体の量で、治療開始から半年程度経過してから低下しはじめることが多く、鋭敏ではないものの、長期的にはアレルギー体質の程度を反映します。
なお、特異抗原RASTは、抗原に接触しなくても上昇することがしばしばあり、現在の皮膚炎の状態を反映しません。本来、アトピー性皮膚炎はⅠ型の即時型反応のアレルギーではないため、IgEの値はダイレクトに皮膚炎の状態を示すものではありません。

RAST 特異的IgE抗体の定量検査

アレルゲンの検査は、スクラッチ・皮内・誘発・食物負荷試験などがありますが、RASTは血液検査で行うことが出来る方法です。
アレルギー反応の50~70%程度を反映しているといわれているため、抗原の推定に役立ちます。
臨床的には、RASTは抗原が減ると3ヶ月から半年の期間をおいて減少することが知られており、クラスは6段階評価になっています。
成人型アトピーの特徴は、マラセチアやカンジダという酵母様真菌(カビ)と黄色ブドウ球菌の大量感染がアレルゲンになっています。

Th1/Th2 Th1細胞とTh2細胞の比率

T細胞は免疫を制御する働きをするリンパ球ですが、ヘルパーT細胞は免疫を高める役割をしています。
その系統にはTh1(進化の古い時代にできた自然免疫)があり、IFN-γやIL-2を分泌してNKやTCLマクロファージといった細胞性免疫を動かします。
もう一つの系統Th2(進化の新しい時代にできた獲得免疫)は、IL-4、IL10を介してBリンパ球刺激し、IgE抗体を産生。IL-5を介して好酸球を活性化させるなど液性免疫を動かします。
アトピー性皮膚炎ではTh2優位になっていると言われています。

アトピー性皮膚炎の自覚症状を含めた重症度の指標

SCORAD

炎症や自覚症状を医師が判定する方法で、世界基準として用いられる手法の1つです。
108点満点で40点以上が重症とみなされます。採点が非常に面倒で実際的ではありません。

POEM

アンケート方式で自己採点も可能な手法です。簡便ですが皮膚炎の重症度と相関し、28点満点中10~20点で重症、最重症は20~28点程度が目安になります。

バチルス入浴ケア(BSC)は継続が必要です

人の免疫システムは3歳までに形成が終ります。
成人型アトピーの方は、残念ながら免疫システムがアレルギーに偏って形成されてしまっていますから、アレルギー体質は一生続くのだと考えてください。BSCは完治ではなくコントロールする手段です。
症状が改善して治ったと思っても、中断すると再びアトピー性皮膚炎が出てくることが考えられます。

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