重症のアトピー性皮膚炎患者さんへ-食事療法(低カロリー低アラキドン酸食)
アトピー性皮膚炎というとアレルゲン除去食だと勘違いされる方がいらっしゃるかも知れませんが,そうではありません。
昭和30年前半まで日本人にアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患はほとんどありませんでした。
現在では小学校6年生の80%近くがスギ花粉に感作されており小児の半数近くがアトピー性皮膚炎です。どうしてこのような変化があったのでしょうか?
その頃 日本人の食文化が欧米型の食事に変わったのです。戦争に負けたコンプレックスとアメリカの経済政策の影響で動物性脂肪蛋白を多量に摂取することになったのです。学校給食も変わりました。その影響で日本人の体格はよくなりましたが一方で体質は悪くなってしまいました。アレルギー3大食品といわれる 牛乳 卵 植物油を多量に摂取するようになったのが最大の原因です。
食事には質の問題と量(カロリー)の問題があります。
量(カロリー)の問題
ラットの実験によってそのメカニズムが判っています。満腹に餌を与えたラットと40%餌を制限した腹6分ラットの寿命を比較すると843日 1360日で1.6倍長寿です。
老化しないということは炎症による活性酸素が少ないことを意味しています。食事を制限すると天然のステロイドの分泌が増加しアナフィラキシー(ショックを起こすアレルギー反応)を誘導する実験でもショック死がほとんど生じないことがわかっています。
この体質の変化はどうして生じるのでしょうか。最近の研究で興味深いことが判ってきました我々の遺伝子の内働いていているのは10%だけであり残りの90%は休眠状態なのです。そうして環境が変わると働く遺伝子が変化してくるのです。日本人がアレルギー体質に変化したのは食環境の変化によって働く遺伝子が変わり炎症性体質に変わっていたのです。
アレルギーだけではありません。心臓や腎臓 脳や筋肉の萎縮にまで過食が関係しているのです。

↑図1 満腹に餌を与えたグループとその6割しか餌を与えなかったグループの生存曲線の比較
やせた粗食ラットが1.6倍長生きする。

↑図2 満腹ラットは脳腫瘍の腫大が速い。粗食ラットは脳腫瘍の腫大が遅いので長生きする。
図は 愛知医科大学 加齢医科学研究所 日老医誌 2000より改変
2011.6.12.NHKで放送された ”あなたの寿命はのばせる~長寿遺伝子発見~”はご覧になりましたか
この遺伝子は誰でも持っていますが、普段は眠っています。『サーチュン遺伝子』と呼ばれる遺伝子です。サーチュンとは指揮者の意味らしいです。
サーチュイン遺伝子のスイッチがオンになると、体の中で指揮者のように働いて、100近くの老化要因を抑える結果、肌・血管・筋肉・骨・脳など様々な器官が若く保たれ、寿命が延びると考えられています。うまく働かすことができれば、平均寿命は100歳を超えるといわれています。
アメリカ・マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ博士が2000年に酵母から発見しましたが、その後、サーチュイン遺伝子は、地球上のほとんどの
生物が飢餓対策として獲得した、寿命を延ばす生物共通の働きであることが分かりました。
その遺伝子は、特別な人でなくても、誰もが持っているものの、普段は眠っていて働きませんが、アメリカ・ウィスコンシン大学が20年間にわたり行ったアカゲザルの実験で、エサを30%減らしてカロリー制限することが活性酸素の発生を抑え、サーチュイン遺伝子を働かせることが分かり、それにより寿命が20~30%延びることが確認されています。
アカゲザル(平均寿命26年)での実験では普通に餌を与えたサルは20年以上たつと毛は薄くなり皮膚も皺が多くなりいましたが、30%のカロリー制限をずっとしてきたサルは、毛もフサフサで艶があり、皮膚も張りがあり若々しさを保っていました。脳を調べても、カロリー制限をしたサルの神経細胞はビッシリと詰まっていたのです。4人の人が番組ではカロリー制限の実験に取り組みましたが、3週間過ぎると、ミトコンドリアが31%増えた人が出て、7週間で全員が「長寿遺伝子」のスイッチがオンになったと確認できました。この遺伝子をON状態にし続けるには食事のカロリー制限を継続する必要があります。
私の体験でもお正月になり親戚が集まり 毎食 ご馳走を食べていると3日目には皮膚が乾燥して痒くなってきます私はアトピーはありませんがアトピー性皮膚炎特有の乾燥と掻痒が生じるのに驚きます。食事を粗食に戻すとすぐに改善します。
古来の日本食(カレー とんかつ すき焼きは違います)をしていればOKです。
全ての生物で健康的に長生きするには 30~40%カロリーを落とすことが一番確実であり
アトピー性皮膚炎も例外ではありません。
質の問題 低アラキドン食
質の問題の中で私が重要視しているのは 植物油脂の問題です。日本人が食事で摂取する脂質の量は戦後から3倍に増加しています。特にアメリカ産の輸入大豆油
コーン油といったリノール酸の量が増加しています。リノール酸は体内でアラキドン酸に代謝されアラキドン酸からロイコトルエンやプラスタグランディンE2といったアレルギー発現物質が作られます。特にマーガリン コーヒーフレッシュ ファーストフード に含まれるトランス型油脂は特に危険です。
揚物 炒め物をできるだけメニューからはずし 使用する場合はオレイン酸の多いオリーブ油を使用することです。
逆に亜麻仁油やシソ油などのαリノレン酸をドレッシングで摂取すると体内でEPAに変化しアレルギーを抑制します。青魚(イワシ サンマ サバ等)には多量のEPAが含まれています。魚や海草といった日本食は油脂の問題でも優れています。
↑日本人が食事で摂取する脂質の量は戦後から3倍に増加しています。
リノール酸は体内でアラキドン酸に代謝されアラキドン酸からロイコトルエンやプラスタグランディンE2といったアレルギー発現物質が作られる 逆にEPAはアレルギーを抑制する。
母乳に含まれる、脂質中のリノール酸含有率は、日本…13%、ドイツ…9%、オーストラリア…8%、スウェーデン…8%と日本のお母さんの母乳リノール酸含有率は高くなっているとのことです。乳児期のお母さんの食事の質と量に注意が必要です。
ナチュラルクリニック21では血中の悪玉脂質 アラキドン酸と 善玉脂質 EPAを入院患者でモニターしています.
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