2009/03/01
食事と病気の密接な関係 過食と発病
病気の原因はそのほとんどが過食と心理的ストレスです。今回はその原因の1つ過食と発病についてお話します。
S30年前半まで日本人にアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患はほとんどありませんでした。現在では小学校6年生の80%近くがスギ花粉に感作されており小児の半数近くがアトピー性皮膚炎です。どうしてこのような変化があったのでしょうか?
その頃 日本人の食文化が欧米型の食事に変わったのです。戦争に負けたコンプレックスとアメリカの経済政策の影響で動物性脂肪蛋白を多量に摂取することになったのです。学校給食も変わりました。その影響で日本人の体格はよくなりましたが一方で体質は悪くなってしまいました。アレルギー3大食品といわれる 牛乳 卵 大豆油を多量に摂取するようになったのが最大の原因です。
これらの高カロリー食品は日本人の体質を変化させてしまいました。
最近 ラットの実験によってそのメカニズムが判ってきました。
同じ遺伝子のラット70匹ずつを2つのグループに分けます。1つのグループは好きなだけの餌を与え別のグループは
60%しか餌を与えません。当然 体重差が生じるのですが 驚くべきことに粗食ラットが1.6倍長生きするのです。
人間に例えれば60歳で亡くなるか96歳で亡くなるかということになります。明治 大正 生まれの粗食の時代を
生きた痩せ型のご老人が元気なのに対してその息子さんが60代で癌や心筋梗塞で先になくなる方が増えていますがその原因は過食にあると言えるのです。ラットは脳に腫瘍ができて死亡するのだそうですが腫瘍は栄養が豊富な環境で急速に成長してしまうのです。癌細胞が成長するには正常細胞の約5倍の糖分が必要だといわれています。過食の方は癌が早く育つのです。
乳がんの再発の研究では肥満の方は再発率が倍になる事が判明していますし 別の研究でも肥満者はほとんどの癌において発生率が有意に高くなるのがわかっています。このラットの研究でさらに興味深い事が判ってきました。この粗食 過食 グループを比較すると体質が違うのです。
粗食グループでは細胞の老化が抑制されていて炎症を抑えるステロイドホルモンが多く分泌されているのです。
ラットの皮膚に炎症を起こさせると粗食グループは飽食グループに比較して炎症が軽度でありエンドトキシンという毒物を投与してもアレルギーショック死が有意に少ないのです。この体質の変化はどうして生じるのでしょうか。最近の研究で興味深いことが判ってきました我々の遺伝子の内働いていているのは10%だけであり残りの90%は休眠状態なのです。そうして環境が変わると働く遺伝子が変化してくるのです。日本人がアレルギー体質に変化したのは食環境の変化によって働く遺伝子が変わり炎症性体質に変わっていたのです。
アレルギーだけではありません心臓や腎臓 筋肉の萎縮にまで過食が関係しているのです。
世界で最もヘルシーな食事が日本食です。世界中が低カロリーで肉や乳製品をとらない古来の日本食をお手本にしています。古来の日本食に戻し腹八分を守るだけで生活習慣病 アレルギー疾患の大半は解決してしまいます。食費代も医療費もかからないし体重が減ると靴も減らなくなる。米と野菜の食事に変わると日本の農業も活性化します。食べ物の自給率30%という恐ろしい状態も改善できます。安全性の高い栽培に高い価値観を持つようになればカエルやトンボも喜びます。人間も自然物の1つに過ぎません豊かな自然が我々の健康と心の豊かさをもたらしてくれるのです。

満腹に餌を与えたグループとその6割しか餌を与えなかったグループの生存曲線の比較
やせた粗食ラットが1.6倍長生きする。

ラットは脳腫瘍ができて死亡する 満腹ラットは脳腫瘍の腫大が速い

粗食ラットは脳腫瘍の腫大が遅いので長生きする。
図は 愛知医科大学 加齢医科学研究所 日老医誌 2000より改変


日本人のコレステロール摂取量は男女ともに米国人を上回っています。特に若年層の摂取量の高さは顕著です。
コレステロール摂取量はファーストフード店数に比例しているようです。
かつて日本人は大腸癌が非常に少ないことが特徴だったが今では30代でも癌が頻発するようになった。私の小さなクリニックでも珍しくなくなっている。確実に命が蝕まれているのを感じる。
動物性蛋白の取りすぎで腸内で メタン アンモニア アルカプトン インドール等の蛋白の腐敗産物が増加しているのが原因と思われる。便秘の方は特に注意が必要だ。
最近 P53抗体というガンのマーカーが健康保険で測定できるようになったが一見健康に見える人にも陽性者が非常に多い。このマーカーは遺伝子レベルでガンが生じていることを示しており特に喫煙者 過飲 肥満 糖尿病 高脂血症等に陽性率が高い。飲酒や喫煙 過食を控えると低下する事が往々にして観察される。ガンはまさに生活習慣病だといえる。
ガンの早期発見では遅すぎる 発症させないライフスタイルこそが大切。昔の食生活に学ぶ点は大きい。おいしい食事は必ずしも我々を幸せにはしてくれない。
なお、ナチュラルクリニック21のがん患者さん、アトピー患者さん(何れも入院患者さん)にお出ししている、食事療法の食事をこちらで紹介しています。