治療の現場から
1ヶ月半で生え際の薄毛も改善 入院期間2019年8月~10月:症例48
2019.12.01治療の現場から
20代女性
入院までの経緯
小学校の頃から顔に軽度のアトピー症状が出ていたが、あまり薬には頼らずに過ごせていた。
高校生となって症状は悪化し、顔、手に症状が生じたがステロイドは使用せず、民間療法によって改善。
就職後、当院入院の3年前に顔に症状が再発した。
ステロイドと民間療法によって一時的には改善したが、症状は出たり治まったりを繰り返し、顔と上半身にステロイド軟膏を使用していた。
入院の4ヶ月ほど前から薬を塗らず過ごすようになるが、顔だけでなく身体にも赤みや腫れが生じてきた。
民間療法を再開するが滲出液が止まらず、ステロイド軟膏やビタミン剤、漢方を使用していても赤みや腫れが強く生じることもあり、当院入院3週間前からステロイドの使用を中止。当院外来を受診し入院となった。
検査データの見方はこちらのページをご覧ください。
入院後の経過
顔、上半身を中心としたアトピー性皮膚炎の症例です。
額と口元はかさつきや軽度に落屑も生じており、デコルテ周辺から首、肩、両腕にかけては炎症を伴う赤みと掻き傷が認められます。
体部の地図状の皮膚炎分布は、皮脂腺や汗腺の分布と関係しています。
入院後は、バイオ入浴にも取り組みながら非ステロイド治療を行い、顔、デコルテの症状も順調に改善。
入院から1ヶ月を経過する頃までは、38℃台の発熱やリンパ節に痛みがある日が続きましたが、皮膚症状は着実に改善し、薄くなっていた額の生え際周辺の髪も伸びてきています。
脱毛が改善したその他の症例
皮膚炎による脱毛も改善した最重症患者 :症例40
元々、体を動かすのが好きなこともあり、体調が改善するに従って散歩の時間にジョギングをしたり、院内で企画するレクリエーションにも積極的に参加。
職場の繁忙期に休みをもらっての入院ということもあり、復職予定日との兼ね合いで約1ヶ月半の入院期間で退院となりました。
この患者さんのように、入院治療開始からしばらくの間、免疫反応による発熱やリンパ節の痛みが生じるケースは非常に多くみられますが、反応が落ち着くに従って、皮膚症状が急激に回復する方も少なくありません。
また、ステロイドから離脱する時期の患者さんの場合には、入院からしばらくの間はリバウンド症状によって一時的に皮膚症状が悪化するのがほとんどです。
当院に入院される患者さんの中にも、自宅で自己流の脱ステを試みた経験があるという方もいらっしゃいますが、重症の方ほど脱ステをすると、体の衰弱、ばい菌やヘルペスの感染拡大が生じやすいため、入院して医師の管理の下で非ステロイド治療に取り組むことが望まれます。
バイオ入浴を行っていると免疫変換が生じるため、リバウンドによる悪化は自宅で行うよりずっと軽く済んでしまいます。