治療の現場から
冬・春先のアトピー注意点:久保Dr.からのアドバイス
2020.01.17治療の現場から
冬・春先こそ気を付けたいアトピーの悪化要因
冬場は空気が乾燥したり、クリスマスやお正月で食生活が乱れたりと、アトピー患者さんには要注意な季節。
高カロリーな食事で皮脂の分泌が増えると、耳や鼻の周りなど皮脂腺の周辺にアトピー症状が生じやすくなります。
冬に調子が乱れたことをきっかけとして、スギ・ヒノキ花粉や黄砂が増える春に症状が悪化してしまう患者さんは少なくありませんので、いくつか注意点をご紹介します。
化繊の下着・肌着はアトピーにはNG!
発熱系インナーなどの化繊下着は、皮膚を乾燥させ痒みを増強してしまいます。
水分を吸収し、繊維が発熱することで暖かくなるという仕組みの化繊下着は、皮膚の乾燥が避けられませんから、アトピー患者さんには適しているとは言えません。
冬場に限らず日頃から綿などの自然素材の下着を選び、寒いときは重ね着することをお勧めします。
電気毛布ではなく湯たんぽを!
電気毛布(敷毛布)は、皮膚の乾燥を引き起こすだけではなく接触面に毛嚢炎(もうのうえん)が生じて異常に痒くなることがあります。
接触した部分の血流がアップして皮脂分泌が増えたため、皮脂を好むマラセチアという酵母が繁殖したためです。
少なくとも入眠時には電気毛布のスイッチを切るか、湯たんぽ(電気加熱の簡易タイプが便利です)をおすすめします。
花粉が飛ぶ時期は、肌の露出にも注意!
スギ・ヒノキの花粉や黄砂が舞う春先は、肌の露出にも注意しましょう。
スギ花粉は2月から飛散量が増え始めますが、ピークを迎える頃には皮膚に付着する花粉や黄砂によって、露出している部位だけ局所的に皮膚症状が生じる人も出てきます。
この場合には、なるべく肌を洗って花粉などを落としましょう。
乾燥防止のためせっけん類は使用せず、水やお湯のみで充分です。
また、外出から帰ったら衣類を着替えたり、目や鼻を洗浄することもお勧めです。
鼻うがいは、誤った方法で行うと気管に入ってしまうことがあり危険ですが、市販の専用品を正しく使えば容易に行えるようになります。
院長 久保 賢介 のプロフィール
1957年4月3日 福岡県 北九州市出身
2001年10月 有床診療所ナチュラルクリニック21 開設
所属学会:日本アレルギー学会/日本心身医学会
15年間以上、アトピー性皮膚炎患者の入院治療にあたっている。
詳しいプロフィール 医師・スタッフ紹介