治療の現場から
アトピーの入院治療食に使っている調味料を公開
2020.06.27スタッフブログ
調味料を大公開
アトピー治療中の患者さんに当院が提供している入院食
今回は、食材の中でも特に大切な調味料について、どんなものを使用しているのか具体的にご紹介します。
当院の食事療法についてのページはこちら
なかには、市中では入手困難なこだわりの品もありますが、管理栄養士が食材を調達しストックを管理するため、入手性が悪いものは向きません。
ほとんどが健康食品ブランドのものや、伝統的な製法の調味料です。
スーパーで大量に並んでいる低価格帯のものと比較すると価格は若干割高ですが、驚くほど高価なものは使っていません。
健康志向のスーパーやネットショッピングで入手しやすいものがほとんどですから、関心のある方は試してみてはいかがでしょうか。
なお、当院では、多い日は一回に20食近くの食事を一人の調理員が調理します。
入院患者さんには調理のコツや、治療食のレシピも提供しています。
塩
野菜の塩・美味しい塩
院長の知人が勧めて下さったことから採用した塩です。
いきなりですが、大手スーパー等では販売されていないこだわりアイテム。
原材料が海水のみの自然海塩で、母なる海のエネルギーに満ちた優しい味です。
バイオ入浴で長時間の入浴をすると、発汗からミネラル不足になる恐れがあるため、患者さんには水分補給用のお水に少し混ぜて、入浴中にも摂取するようにしてもらっています。
醤油
マルシマ食品の醤油・こいくち/うすくち
醤(ひしお)の郷 として有名な香川県小豆島産の醤油です。
ブログ担当の私、中川は以前、小豆島で生活していたことがあるのですが、島の中には醤油蔵がそこかしこにあります。
杉樽仕込みにこだわる小豆島の別の醤油蔵さんを見学したことがありますが、使いこまれた樽にはびっしりと麹菌が繁殖していて、微生物の力と蔵全体が生きている雰囲気を感じました。
マルシマさんは、マクロビオティックの提唱者として海外でも有名な桜沢如一さんに大きく影響されて、こだわりの醤油や調味料を多く手掛けるようになったのだとか。
味噌
小瀬醸造の糀みそ/地みそ
地元飛騨高山で生産されている昔ながらの味噌です。
もちろん無添加で原材料は大豆と米、塩のみ。
治療食の献立には飛騨の郷土料理を盛り込むこともあるのですが、そんなとき地元の味噌だと味が決まります。
「生産者を身近に感じられるもの」というのも食品選びには大きな要素ですね。
酒/みりん
味の一醸造 味の母
こだわり調味料として定番の味の母は、ラベルにもあるように「みりんのうまみとお酒の風味」を併せ持った発酵調味料。
当院でも昔から愛用しています。
この特徴は、「米と米こうじで『もろみ』を醸成し、糖化をさせて食塩を加える」という独自の製造法が成せるわざのようです。※HPより
お酢
ミツカン 純米酢金封
入手しやすい大手メーカーの製品で、国産の原材料・無添加のものを使用しています。
だしの素
ムソー だし亭や かつおだし
ヤマキ にぼしっ子
創健社 洋風だし一番・中華風だし一番
だしの素はアミノ酸やたんぱく加水分解物が無添加のものを。
お茶
ムソー 三年番茶
三年番茶は、含まれるカフェインがわずかで誰にでも飲みやすく、ヘルシー志向の方には定番のお茶。
ひしわ 紅茶
ひしわ紅茶は、ケニアの高地で無農薬栽培されている特別な茶葉を使った紅茶です。
こちらも、自然食志向の方々には有名な製品で、入院なさった患者さんが「以前から家でもこれを飲んでいます」とおっしゃることも。
オリーブオイル
ガルシア オリーブオイル
当院で加熱調理に使う油は、酸化しにくいオリーブオイルです。
オレイン酸が中心のオリーブオイルは、加熱しても体内で炎症物質アラキドン酸が産生されず、アトピーへの悪影響が少ない油だと言えます。
少し調べてみると、日本では(世界でも)エクストラバージンという規格はあまり厳密に運用されていないことがわかりますが、リノール酸中心の油脂より、オレイン酸中心のオリーブオイルを使うことがアトピー改善に望ましいのに変わりはありません。※当然ですが摂り過ぎはNGです。
亜麻仁油
ゴールド トップ フラックスシードオイル
近年、健康成分として注目を集めたオメガ3脂肪酸の一種であるαリノレン酸を含む亜麻仁油は、アレルギー抑制効果のある物質(プロスタグランジンE3)を体内で産生するため、アトピー患者さんにもおすすめしています。
※プロスタグランジン類については、食事療法でアトピー改善!キーワードは「アラキドン酸」!をご覧ください。
ポイントは、加熱すると成分が破壊されるので非加熱で摂取すること。
サラダに直接かけてもいいですが、当院ではポテトサラダに加えたりもしています。
こちらは、以前からお付合いのある業者さんから仕入れている、通販では入手困難な製品。
食べるサプリと思って少量摂取することを勧めています。
こだわると面白い調味料の世界
いかがでしたでしょうか?
普段からスーパーやネットで見かけたことのある、お馴染みの調味料もあったかも知れません。
アトピー患者さんの食事療法は、入院中だけでなく、退院してからの日常の中でも継続していくことが大切です。
あまりに高価なものや入手困難なものばかり使っていては、自宅で継続するにはハードルが高くなってしまいますから、「なるべく手に取りやすい食材・調味料をご紹介する必要がある」と、当院の管理栄養士も話しています。
ブログを読んで下さっている方にも、ここにご紹介した調味料は「これでなければならない」というものではなく、あくまで参考として気に留めて頂ければ嬉しいです。
そして、普段食材の買い物をするときに食品表示を見る習慣をつけましょう。
きっと、加工食品や調味料を選ぶことが楽しくなってくると思います。
管理栄養士の栄養指導のレポートはこちら
※ご紹介した調味料は、当院が治療食を作る上で調味料としてセレクトしているものであり、アトピーをはじめとした疾患への治療効果があるわけではありません。
なお、製品の製造・発売元と当院との間に利害関係はありません。
ブログ担当:中川