アトピーを予防する子育て
このページでは、院内で患者さんにお渡ししている資料から、子育て中の保護者に向けて、お子さんがアトピーやアレルギー体質となることを防ぐための知識を抜粋して掲載しています。
沢山の成人アトピー患者を診ていて思うこと
入院治療した成人型アトピー性皮膚炎の患者さんを診ていて痛感しているのは、「バイオ入浴を行うことでアトピー性皮膚炎をコントロールする事に成功しても、自宅でもこの入浴方法を継続する必要があり、手放しの完治はなかなか難しい」というジレンマです。
免疫形成期とその過程
人間を含め哺乳類には免疫の形成期があり、3歳までの間に基本的形成を終えます。
出生時、赤ちゃんは、自然免疫が抑制されたいわゆるアレルギー体質で生まれ、無菌状態で成長して免疫形成がなされないと、自動的にアレルギー体質のまま大人になってしまいますから、この時期を逃すと、一生かかっても健康な免疫機構を手に入れることはできません。
現代の過度に清潔な生活環境の中では、保護者がしっかりとした知識を持って、その子が生きてゆく上で最も大切な「健康な免疫システム」を作らなくてはなりません。
3歳までに多くの菌やウイルスとの接触を経験する機会を作ることが大切なのです。
バイオ入浴の働き
バイオ入浴(BSC=Biological Spa Care)の浴水中には、人類が太古から接触し共に共存・進化してきたてきた、土壌バクテリアが浴槽1個あたり約100兆個培養されています。 これらは自然界の地表面に無数に生息している菌たちで、99.8%は病原性がない菌です。
当院では、バイオ入浴がアトピー性皮膚炎に及ぼす治療効果について科学的視点に立って研究を実施し、アメリカ合衆国における治療特許を取得しています。公開番号2016-0089403
当院では、バイオ入浴がアトピー性皮膚炎に及ぼす治療効果について科学的視点に立って研究を実施しています。
バイオ入浴の前後で変化するヒトの免疫(Th1/Th2比)
バイオ入浴では、Th1系の自然免疫が活性化すると同時に、過剰なTh2が抑制され、Th1/Th2比が改善します。表のデータは、当院に入院しバイオ入浴にも取り組んだ患者さん5名の血液検査の値です。炎症の程度を示すTARCが大幅に改善しているだけでなく、Th1/Th2比が上昇(この場合は改善)していることがわかります。
私が乳幼児期の免疫形成を強く意識するようになった体験
乳幼児期の免疫形成の重要性を私自身が強く意識するようになった理由のひとつに、「長男の重症アトピーが、ほったらかし療法と数々のウイルス感染で治った。」という実体験があります。詳しくは、私の自己紹介のページに書いています。
アトピーの小児への予防接種をどう考えるか
乳幼児への予防接種のスケジュールは過密な上に、水銀・アルミ・培地の成分・ホルマリンなどの添加物が多量に含まれています。
ワクチンはTh2免疫を刺激してアトピー性皮膚炎を悪化させますから、両親のいずれか、あるいは上のお子さんがアトピー性皮膚炎である場合や、乳児湿疹が出やすいアトピーにハイリスクなお子さんへの予防接種については、慎重な判断が必要です。
私の考えとしては、予防接種は自然感染の状況やアレルギーの有無など成長の経過を見ながらゆっくり考えることとして、「なるべく3歳以降、できれば5歳以降に本当に必要なものを選択して打つ。」ということを勧めています。
ただし、予防接種を打たなかった場合に、わが子が予防接種の対象疾患に罹って最悪の場合死亡する可能性が、ないわけではありません。最終的な判断は保護者が行い、保護者が全責任を負うことになることは覚悟しておく必要があります。
私がここに述べている見解もあくまで私個人の意見ですので、ご自身で調べて納得して判断してください。
社会問題としてのアトピー
お隣の韓国では若者のアトピー自殺が問題になっていますが、若者の自殺率は日本の方が高く、先進国で一位となっています。具体的な調査結果はありませんが、当院に入院する患者さんの中にも、アトピーが原因で自殺を考えたことがあるという方は一定数いらっしゃいますので、日本でもアトピーが原因で自殺している人数は相当数にのぼると考えられます。
そして、自殺と並んで問題なのがアトピーに起因する社会不適応・引きこもり・うつ病です。
実際、アトピー性皮膚炎の患者は、外見のコンプレックスや夜間の痒みによる不眠、皮膚炎の重症化による就学・就労困難などで引きこもりになるケースが非常に多く、当院に入院してくる重症アトピー患者の20%程度は引きこもり状況です。
私が引きこもり状態のアトピー患者を実際に治療する中で実感しているのは、彼・彼女たちが引きこもる最大の理由は病気と自信のなさだということです。
今や若者のうつ病は全体の10%に及ぶと言われていますが、アトピー性皮膚炎がうつ病の大きな原因になる事は明白です。
妊娠・授乳期間中の食生活
お母さんの食生活は赤ちゃんに大きな影響を与えますので、子どもをアトピーやアレルギーなく育てたいと思うなら、お母さん自身も妊娠から授乳期間中の食生活に充分気を付ける必要があります。
食生活は昔ながらの和食を中心にして、ショートニング等の人工産物や加工食品を避ける事が大切なのは、幼児期以降の子どもに与える食事にも同じことが言えます。
出産後、母親が過剰栄養となると母乳のカロリーも高くなり、余った脂質は赤ちゃんに脂漏性皮膚炎を生じさせます。アトピーのコントロールにはお母さんの体質管理も必要なのです。
乳幼児期からのバイオ入浴
以上のような点をふまえ、私は、子育て中の方には、乳幼児期からバイオ入浴で自然免疫を作り、乳幼児期のアトピー性皮膚炎を予防するということを強くお勧めしています。
乳児期のアトピー性皮膚炎は、その後の食物アレルギーや気管支喘息、アレルギー性結膜炎(花粉症等)の発症に密接に関わっていると考えられていますから、これらのアレルギーが連鎖的に発症すること(アレルギーマーチ)を防ぐ観点からも、乳幼児期に適切な対応が必要です。
子育て中の保護者の方で、子どもさんをバイオ入浴に入れながら育てたいとお考えの方は診察時にご相談ください。
乳幼児であれば、大人が入浴する浴槽ではなく小型の容器で浴水を作り、ベビーバスなどで入浴させることも出来ます。
当院の乳幼児外来
当院は小児科を標榜していませんが、アレルギー科として3歳までの乳児湿疹のある子どもさんで、保護者が自宅でのバイオ入浴を希望する場合に限って、日時を限定して診察を受け付けています。
成人型アトピー性皮膚炎に移行する確率が高いハイリスク乳児に、ステロイドを使わず健全な免疫を形成させアトピーリスクをなくすことが目的です。
完全予約制ですので必ず電話で予約をお取りください。0577-37-7064
※乳幼児のバイオ入浴を希望とお申し出ください。
※定期受診が可能な方に限ります。
【成人型アトピーにハイリスクな乳児】当院の判断基準です
- ◎両親のいずれかがアレルギー疾患・食物アレルギーがある
- ◎予防接種で湿疹が生じる
- ◎体表面の1/4以上に湿疹がある
- ◎ステロイドの外用が2週間以上の長期に及ぶ