治療の現場から

       

やっと見つけた!アトピーの原因療法!:久保Dr.からのアドバイス

2020.05.12治療の現場から

アトピー治療は原因を知ることからはじまります

当院では、アトピー改善には免疫の働きそのものを改善することが何よりも重要と考えています。

そのため、入院患者さんには食事療法で腸管免疫の改善を図り、皮膚の免疫細胞には有効バクテリアたちからの刺激を加えることが有効と考えて、バイオ入浴を開発・提唱しています。

バイオ入浴については、病気の治療方法に特許権が認められているアメリカで治療特許を取得するなど、エビデンスの公開と信頼性の確保に努めていますが、このページでは、なぜ当院が免疫を抑制するステロイドを使用した治療ではなく、現在のようななるべくステロイドを使わない治療方針を採用しているのかをご説明します。

特許状表紙1

特許状の表紙

特許状見開き

特許状の見開きページ

官庁: アメリカ合衆国
特許番号 10004768 特許付与日: 26.06.2018

 

アトピーはダニやペットが原因じゃないの?

実は、アトピー性皮膚炎では、ダニや花粉といった表皮外の抗原(OutSideの抗原)は、主に眼や鼻、気道の粘膜に作用している事がほとんどなので、シャワーや掃除で比較的簡単に処理でき、重要な原因にはなりません。

問題は皮膚の真皮内にある抗原(InSide抗原)で、毛嚢(もうのう)や脂腺・汗腺に繁殖している黄色ブドウ球菌やマラセチアという酵母様真菌(カビ)が真犯人です。

皮膚の表面ではなく内側ですから、シャワーで流しても爪でひっかいて血だらけになっても、痒みや皮膚炎は改善しないのです。

肌の真皮層のイラスト

アトピー性皮膚炎の患部は病原菌がたくさん

アトピーの原因菌として、黄色ブドウ球菌の感染はよく知られた事実です。

黄色ブドウ球菌は強い毒素(エンテロトキシン)を産生して皮膚にただれや強い痒みを引き起こすだけでなく、スーパー抗原として作用して一気に免疫を混乱させ、アレルギー反応(Th2獲得免疫反応)を引き起こしてアトピーを重症化させます。

では、どうしてあなた(アトピー患者さん)の皮膚は原因菌を除去できないのでしょうか?

それはTh1自然免疫という免疫が弱いからです

自然免疫が弱いと、アレルギーを起こすTh2獲得免疫が「抗体」という武器を使って原因菌と闘いますが、黄色ブドウ球菌やマラセチアは真皮内に潜んでいるので有効に作用しないのです。

Th1自然免疫を強くする方法はある?

Th1自然免疫が弱く、Th2獲得免疫が過剰に働くことがアトピーの原因ですから

アトピーの原因療法 = Th1自然免疫の強化です

アレルギー疾患は「人が都市に住み衛生的な環境で生活するようになって、バクテリアなどの免疫刺激を受けなくなったため始まった」と考えられています。

これは世界的に有名な「衛生仮説」という説で、生まれてから全くの無菌状態で育ったマウスは、全例がアレルギー体質になるという実験結果もよく知られています。

人の免疫の進化には自然界のバクテリア刺激が欠かせないものだったのです。

ここに原因療法を見つけるヒントがありました。

衛生仮説イラスト

やっと見つけた!アトピーの原因療法

病気の治療方法は、原因療法と対症療法の二つに大きく分けることができます。

対症療法とは

病気の原因を取り除くのではなく、病気によって起きている症状を和らげたりなくしたりする治療法で、症状は改善したとしても原因は残ってしまします。

咳が出るときの咳止めや発熱に対しての解熱剤、アレルギーに対してのステロイドホルモン(免疫抑制剤)などがそれに当たり、これまでアトピーは原因療法が確立されていなかったので、対症療法としてステロイドやプロトピック(タクロリムス)を使用してきました。

このような治療によって多くの患者さんが痒みのない(少ない)生活を送ってこられたことは間違いありませんが、原因療法ではないので使い続けなければなりませんし、徐々に効果が得られなくなって薬の強度を上げていくことになる方や、症状のコントロールが出来なくなる方も少なくありません。

原因療法とは

病気そのものや、その原因を減らすための治療法で、細菌やウイルスといった原因を取り除く抗生剤や抗ウイルス剤、スギ花粉症の減感作療法のようにアレルギー反応を起こさないよう免疫を改善するといった、「病気の原因を取り除く療法」です。

「皮膚全体に自然界のバクテリア刺激を加えると、Th1自然免疫が強化されアトピー性皮膚炎が改善する」

 

これこそ私たちが提唱するアトピー性皮膚炎の原因療法【バイオ入浴】です

浴水中のバクテリアや原材料に含まれる天然の免疫刺激物が体中の皮膚細胞に作用すると、Th1自然免疫が誘導され黄色ブ菌などの病原菌感染を抑制すると同時に、アレルギー免疫(Th2獲得免疫)が抑制されていくのです。

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ブ菌減少_sp

科学的な裏づけと客観的な効果

バイオ入浴を提唱する上で、効果の裏づけとなる科学的エビデンスをまとめています。

過去5年間に4週以上(平均78日)の入院療養を行ったアトピー性皮膚炎患者さん170名の改善度を、客観的な血液マーカーであるTARCと好酸球の値で示たグラフです。
※対象は入院時に16歳以上でTARC1500以上の方です。

TARC低下率のグラフ

好酸球低下率のグラフ

TARCは世界的にアトピーの重症度との相関性が認められているのですが、700以上で中等症と判断される場合もあります(正常値450以下)。

入院時の平均が13700という値から、当院で治療を受ける患者さんには、様々な治療をやり尽くした最重症タイプの方々が多いとご理解頂けると思います。

それだけ高い値が平均で87%低下したというのは、ストロングランク以上のステロイド外用治療に匹敵する効果ですし、最近登場したIL4とIL13のブロック剤の注射薬デュピクセント(一般名デュピルマブ)の3ヶ月の治療効果中央値は82.9%ですが、バイオ入浴は81.6%でした。

薬物に頼らない自然療法で最新の薬物療法と匹敵する効果が得られるのは、バイオ入浴という原因療法がアトピー性皮膚炎の本質を捉えているからだと考えられます。

その他の研究データは臨床効果の研究報告をご覧ください。

Th1自然免疫の強化は、アトピーやアレルギー体質の改善だけでなく、がんや感染症の予防などにも役立つと考えられますので、当院では、免疫の向上・改善方法として研究を続けています。

院長 久保 賢介 のプロフィール

院長

1957年4月3日 福岡県 北九州市出身
2001年10月 有床診療所ナチュラルクリニック21 開設
所属学会:日本アレルギー学会/日本心身医学会
15年間以上、アトピー性皮膚炎患者の入院治療にあたっている。

詳しいプロフィール 医師・スタッフ紹介

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