治療の現場から

       

アトピーでの長期ひきこもりから入院した女性 退院後の社会復帰も順調

2021.09.20治療の現場から

久しぶりに受診なさった元入院患者さんに関する記事です。

こんにちは!ナチュラルクリニック21入院担当の中川です。

数ヶ月前の出来事なのですが、約3年半前に退院なさった九州からの患者さんが、退院以来、初めて外来を受診なさいました。※今回の受診の約3年半前に退院という意味です。

退院後、何度か電話でやり取りをする機会があったので簡単に近況はお聞きしていたのですが、顔を見てお話ししたのは退院以来でした。

退院患者さんと

「仕事が忙しくてなかなか診察に来ることが出来なかったんですが、今回はなんとか休みを取って来ることが出来ました。」と笑顔で話す彼女ですが、当院に入院する前はアトピーのため何年も自宅療養をしていて、いわゆる「ひきこもり」状態だったそうです。

先の見えない自宅療養の中、なんとかして状況を変えなければと当院への入院を決意し、九州から愛知までは飛行機で、空港からはお父さんがレンタカーを運転して来院なさった日の事を、入院担当として受け入れた側の私もよく覚えています。

飛行機のイラスト

入院治療で症状が改善して退院なさってからは、地元で就職して社会復帰し、忙しい日々を送っているとのことで、私たちスタッフも大変嬉しく思っています。

 

診察を終えて久保院長からのコメント

退院してからの3年半は、地元ではアトピーのために医療機関にかかることはなく、自宅でバイオ入浴を行いながら、市販の保湿剤を使用する程度で過ごしているとのこと。

仕事の忙しさの影響もあって多少皮膚炎が出ることはあるものの、入院前、自宅療養のためにひきこもっていた生活とはまったく違う充実した日々を送っているようです。

3年半ぶりの血液検査でも退院時と比較して全ての検査項目で改善が見られ、入院時に4,396だったTARC(皮膚炎の程度を反映)は601と基準値の一歩手前に、LDHと好酸球は基準値内です。

検査データの見方は掲載症例の見方をご覧ください。

検査結果表

また、退院時に26,000以上(入院時は約35,000)あったIgE(アレルギー体質の程度を反映)も、今回は約8,300まで低下していて、退院後の3年半でアレルギー体質が徐々に軽減していることがうかがえます。

入院前に、何年間も自宅療養をしていてもアトピーをコントロールすることが出来ていなかったことを考えると、自宅でのバイオ入浴がアトピー症状のコントロールとアレルギーの体質改善に大きく貢献しているのは間違いないと考えます。

 

九州という遠方から(私も福岡県出身ですが)の入院は、本人にも家族にも思い切った決断だったことと思いますが、先の見えない自宅療養でいたずらに時間を過ごすのではなく、当院での入院治療を選択したことが、この3年半の彼女の充実した日々につながったのではないかと自負しています。

アトピー性皮膚炎での引きこもり生活を乗り越えて生き生きと過ごしている彼女。
私にとっても、社会復帰へのお手伝いができたことは嬉しい事です。

院長

知らない土地での数ヶ月の入院治療は、送り出す家族(このケースでは親御さん)にも勇気がいる選択だと思いますし、自宅でバイオ入浴を行うことも、事情によっては簡単ではないこともあるでしょう。

それでも、人生を健やかで充実したものにするために当院での入院治療を選択なさるわけですから、私たちは当院への入院が患者さんの人生の転換点となれるよう、これからも診療と研究を続けていきたいと思います。

#ひきこもり状態から入院 #退院後の様子

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