治療の現場から

       

アトピーに過食は禁物!事例で見る食事の大切さ:久保Dr.からのアドバイス

2020.05.08治療の現場から

失敗例から見る食事コントロールの重要性

食生活とメンタルの状態を整えることが、アトピーをコントロールする上で非常に重要となることは、このサイトの中でも何度となくお話ししてきました。
※心理療法については心理的ケア・カウンセリング をご覧ください。

今回は、過去の患者さんの悪化事例をいくつかご紹介します。
これらの事例ほど極端ではなくても、アトピー患者さんには食べ過ぎは身近な問題ですので注意して頂ければと思います。

悪化事例①ストレスからジャンクフードを暴飲暴食した女性

過去に重症状態で当院へ入院なさったAさん(40代女性)は、退院後も自宅でバイオ入浴を継続。
数年間は良好な状態が保てていて、事情で3ヶ月間ほどバイオ入浴を中断した時期があっても、特に悪化することなく過ごせていました。

しかし、家族や職場でのストレスが重なって、そのはけ口を食べ物に求めてしまいました。
大型格安スーパーで安売りされているパンをはじめ、ポテトチップスやスナック菓子、アイスクリームなどを日常的に食べ続け、チーズも大量に食べていたそうです。

ジャンクフードのイラスト

こういった食生活の変化に対して体は非常に正直で、ある日から急に症状が出始めたため、引っ越しの関係で中断していたバイオ入浴を再開しました。

しかし、新しい家の浴室への循環装置の設置が適切ではなく、浴水の質が悪くなっていたようで、体調は安定しませんでした。

就職面接の都合からしばらくはステロイドで症状を抑えましたが、ひと段落したところでステロイドを中止するとリバウンドで再び悪化。

日常生活にも困る状態となりステロイド外用に加えてステロイド点滴も行いましたが、コントロールすることができず、再入院を希望するご連絡を頂きました。

入院後は食事療法を再度徹底して、非ステロイド治療とバイオ入浴を実施し、症状は改善していきました。

食品を選ぶ目を養いましょう

いろいろな食材のイラスト

大量生産で安価な食品の原材料が、合理化やコストカットを目的に質の低いものになっているのは、ある意味当然です。

市販の加工食品には、ショートニングなどのトランス脂肪酸や、人工甘味料、乳脂肪分が多量に含まれているなど、アトピー患者には大敵ともいえる製品も少なくありませんので、食品表示や原材料に注意して食べ物を選ぶ必要があります。

最近では、安全性にこだわりをもって作られている食品を集めて販売している通販会社もあるので、利用するのも良いでしょう。

しかし、どんなにヘルシーに作られていたとしても、食べ過ぎてしまっては本末転倒です。

事例②入院中にコンビニ外食で再悪化した青年

重症状態で入院したBくん(大学生)は、ゆっくりとですが着実に症状が改善していっていました。

当院では、毎週1回入院患者さんの体重を測定・記録していますが、通常は、よほど少食で痩せ型体系のアトピー患者さん以外は食事療法によって体重が減っていきます。

Bくんも当初は体重が減少していましたが、ある日、前回の測定から7キログラムも体重が増加していたことがありました。改善傾向だった皮膚の状態も不安定になっています。

通常では考えられない体重増に、看護師は体重計の不具合や前回記録の間違いを疑ったほどでしたが、その数日後、当院から少し離れたコンビニの駐車場で、Bくんがカップ麺や菓子パンなどを食べている場面を勤務帰りの職員が発見しました。

7キログラムの体重増加は、もともと大食漢のBくんが外出や散歩の時間のたびにドカ食いしていた結果だったのです。

体重が急増した時期

丸の位置で体重が急増しています

TARCが上昇した時期

丸囲みの中央辺りからTARCの数値が上昇

好酸球が急上昇した時期

丸囲みから好酸球が急上昇

体重測定と検査の頻度が異なるためわかりにくいですが、体重が急増したタイミングと、数値の上昇は同じ時期でした。

当院では入院時の同意書で、無断外食などをした場合には治療の意思がないと判断して退院頂く場合がある旨をご説明していますが、今回は直ちにBくんに入院治療を継続する意思があるかを確認し、二度とこのような外食をしないと約束して頂いた上で入院治療を継続することとしました。

その後もしばらくの間は体重が高止まりして検査数値も優れない状況が続きましたが、学校や家族の事情からいよいよ退院しなければならない時期近づいてくると、症状は改善へと向かいました。

食生活は体調に直結し、検査結果にも反映されることがよくわかる事例です。

そして、適切な食事療法を実行することが症状改善への近道でもあると、当院では考えています。

当院の食事療法のポイントや日々のメニューはInstagram【ナチュクリキッチン】でも発信中です。

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院長 久保 賢介 のプロフィール

院長

1957年4月3日 福岡県 北九州市出身
2001年10月 有床診療所ナチュラルクリニック21 開設
所属学会:日本アレルギー学会/日本心身医学会
15年間以上、アトピー性皮膚炎患者の入院治療にあたっている。

詳しいプロフィール 医師・スタッフ紹介

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