治療の現場から
激しい痒みや滲出液の異臭も乗り越えたママ 症例:14
2013.09.01治療の現場から
35歳 女性 入院期間2011年5月~8月
入院までの経緯
幼少期よりアトピー性皮膚炎だったが、学童期は四肢屈曲部に症状があるのみだった。
高校時代に悪化し、皮膚科に通院してステロイド外用治療を開始。
大学生になると改善し、顔の赤みでたまに通院する程度だった。
大学卒業後、就職すると皮膚炎は悪化し、頻繁に皮膚科に通院してステロイド外用とプロトピックを常用するようになった。アトピーのストレスもあり6年程で退職。
31歳で妊娠した頃からアトピーの症状は改善したが、出産後、半年間で非常に悪化した。
それを機に、入院の約2年前に脱ステロイドを行ったが、リバウンドで更に悪化。
このときは軟膏も使用せず、自分なりの食事療法も行い半年がかりで改善した。
しかし、その状態は長くは続かず、半年後に再度悪化し慢性アトピー状態となった。
入院の1ヶ月前には一段と悪化し、顔や首を中心に滲出液を伴う全身性の皮膚炎が生じ、改善しなくなったため、当院外来を受診し、後日入院となった。
検査データの見方は掲載症例の見方をご覧ください。
入院後の経過
入院治療開始後の経過は劇的で、入院から20日ほどで皮膚炎の指標であるTARCは15分の1に低下し、3ヶ月で正常範囲になりました。
非常に強い皮膚炎が、ほぼ正常の皮膚に戻っていることを写真でも確認できるはずです。
この患者さんは入院前から極力薬の内服・外用を避けていたので、バイオ入浴の効果が特に明確に表れているようです。
この患者さんのように、最重症のアトピー性皮膚炎では、激しい痒みだけでなく脂漏性皮膚炎の様に強い分泌が生じて異臭を発っするため、患者さん本人も家族も大変忍耐がいったと思います。
患者さん自身に、脱ステロイドへの意志と自然な方法でのコントロールを目指す信念があり、バイオ入浴を信じて頑張りました。退院時には、信念が実り、すべすべの皮膚に戻って本当に嬉しそうでした。
退院後も薬物療法は行わず、バイオ入浴を継続して皮膚炎は安定。検査結果のデータも安定しています。
アトピー性皮膚炎改善の基本療法は、今後新しい段階を迎えることになりそうです。
【脂漏性皮膚炎が強く生じていた他の症例】
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