治療の現場から

       

不眠で仕事にも支障が出ていた重症患者 2ヶ月半で職場復帰に成功 入院期間:2019年5月~8月:症例43

2019.09.27治療の現場から

20代後半

入院までの経緯

学童期には症状はなかったが、高校時代から夏期に四肢の関節部に皮膚炎が生じるようになり、2~3ヶ月に1回のペースで皮膚科を受診してステロイド外用薬を使用していた。大学時代も同様に、関節部にたまにステロイドを使用する程度。卒業して就職後は、一年程度は学生時代と同様に過ごしたが、その後一旦は症状が全てなくなった。

転勤などを経た後も症状は比較的落ち着いていたが、入院の約10ヶ月から全身の赤みや痒み、掻把(そうは=掻き壊し)、落屑が生じるようになりステロイド外用を使用。

1~2ヶ月程度ステロイドを使用していたが、皮膚炎は慢性化して拡大傾向になったので脱ステし、そのまま様子を見ていた。

しかし、入院の1ヶ月前から皮膚炎は全身性に悪化、掻痒が強く夜間も不眠、業務にも支障が生じるようになり職場の上司からも休職・治療を進められ入院を決意。

検査データの見方はこちらのページをご覧ください。

入院後の経過

上半身を中心に重症性のアトピー性皮膚炎が生じている患者さんで、特に首、肩、胸周辺は落屑や掻把も認められました。

入院時は、バイオ入浴の浴水が皮膚の傷にしみるのではと心配されていましたが、初日の入浴で痛みを感じず安心していらっしゃいました。

その後は1日に4時間程度のバイオ入浴にも取り組みながら入院治療を行い、確実に改善。最初の1ヶ月でTARCが7434から4537に低下し、退院時には1315まで低下しています。

バイオ入浴の浴水の時間経過や老廃物による劣化を入院から数週間で感じ取るほど敏感な皮膚感覚の持ち主で、入院中にしっかりと知識を身に付けて退院されました。非常に真面目な性格のスポーツマンで、小さな子どもさんのいる子煩悩なパパ。

退院後の復職にあたっては、比較的発汗が少なく時間外も抑えられる部署へ転換という対応をとってもらうことができ、スムーズに復職を果たされました。

退院3週間後の外来診察時ではTARC867、自覚症のPOEMに至っては0という検査結果で、好調ぶりがうかがえます。

この患者さんのように、バイオ入浴時に傷になっている部位がしみるのではと心配する人も多くいらっしゃいますが、実際に入ると刺激のなさに安心されることがほとんどで、入浴中だけ痛みから解放されると語る方も少なくありません。

topへ