治療の現場から

       

プロトピックとステロイド内服でもコントロールできなかった重症アトピー 入院期間2017年5月~7月:症例33

2017.11.12治療の現場から

40代女性

入院までの経緯

幼少期より、四肢屈曲部にアトピー性皮膚炎が生じたが、小・中学校の時期はアセモ程度で安定しており、その後は水仕事の手荒れでステロイドを使う程度だった。

成人し、就職・結婚もしたが、2011年春頃、転職に伴うストレス増加に比例して飲酒量が増加した。
顔や首に発赤が生じたために小児用プロトピックを使用するようになったが、効果は次第に低下。

プロトピック・ステロイド外用では症状をコントロールできなくなり、1日3錠のセレスタミン(ステロイド)内服もするようになったが、2014年からは効果が低下し特に顔は湿疹が持続していた。

2017年1月に退職し、脱ステロイドを目指してセレスタミンを減量。
4月からは外用ステロイド・プロトピックも中止したが、皮膚炎はリバウンドで悪化し5月17日に当院入院。顔や首を中心に全身性に強い角化・発赤を伴った皮膚炎が認められた。

検査データの見方はこちらのページをご覧ください。

入院後の経過

内服ステロイドまで使用していた症例ですが、入院治療の効果は明瞭で、TARCは23761という最重症の高値から2ヶ月で1/20近くにまで低下。

ステロイド内服とプロトピック外用でもコントロールできていなかった顔の皮膚炎ですが、非ステロイド治療と並行して食事療法や心理療法を実施。バイオ入浴にも取り組むことで順調に改善し退院なさいました。

退院後4ヶ月目の外来受診時での検査でも、自宅でのバイオ入浴で良好にコントロールできていることがわかります。

現在アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインで示されているステロイドの内服・外用、プロトピック外用といった治療は、本当に役に立ち必要な治療なのか疑わざるを得ない症例です。

ステロイド内服でもコントロール不能となっていた他の症例

ステロイドも効果なく大学就学も困難になった重症アトピー患者 入院期間:2015年4月~7月:症例20

最強ステロイドと免疫抑制剤の内服でもコントロール出来なかった最重症のアトピー性皮膚炎 入院期間:2014年9月~2015年2月:症例22

脱ステ悪化の発熱や滲出液も乗り越え痒疹(ようしん)も改善 症例:51

topへ