治療の現場から
20年来のアトピー・皮膚角化が大きく改善した女性 症例:75
2023.01.06治療の現場から
50代 女性 入院期間2022年4月~7月
アメリカ在住の日本人女性が、入院と自宅療養で目覚ましい改善を果たした症例です。
症例写真は記事の後半にも掲載しています。
入院までの経緯
幼少期は季節の変わり目に少しアトピー症状が出ることがあったが、日常生活に支障はなかった。
成人後、25歳頃に心理的なストレスからか部分的に症状が悪化したため、健康器具を使用した方法などを試みたが、かえって全身に症状が拡がりステロイド外用での治療を受けた。
その後、漢方や針治療などを5年ほど続けたところ、ほとんど薬を必要としない程度までに改善したが、結婚後の生活の変化なども影響してか再び全身の症状が悪化。
30才でアメリカに引っ越し、日本と行き来しながらの生活を約20年にわたって続けた。
この間、西洋・東洋医学による治療のほか、断食や温泉療法なども試したが思うような効果は得られず、慢性的な重症アトピー性皮膚炎が続いていた。
以前より、インターネットを通じて当院の存在やバイオ入浴に注目しており、帰国のタイミングに合わせて入院治療を受けることを希望して問い合わせた。
入院後の経過
入院時のTARCは3122と中等症に分類される患者さんですが、20年以上の皮膚炎で顔を中心に皮膚がごわついた状態となっており、長年にわたってアトピーに悩まされ続けてきたことが、皮膚の状態からもうかがい知れます。
検査結果でも、抗原としてマラセチアやカンジダ、トリコフィトンというカビ(真菌・酵母)に強く反応していて、カビに対する免疫が弱い状態だということが判りました。
背中や腰、腕など皮膚の毛穴で真菌による炎症が起きています。
また、特に両足首から甲にかけては歩行にも支障が出るほど炎症が強く、滲出液が出ることも多かったため、乾燥を促すために亜鉛華デンプンの塗布等を行っていますが、この部位の炎症は日本へ帰国する頃(入院の2週間ほど前)から悪化したとのことです。
入院中の血液検査の値や下肢の改善はゆっくりでしたが、顔や背中、腕などの症状は順調に改善し、画像からも2ヶ月半の入院治療で着実な結果が得られていることが確認できます。
退院後の経過
入院期間は約2ヶ月半でしたが、退院後も2ヶ月半ほど高山市内のアパートに住み、通院しながら療養生活を送ったところ、この期間にも改善が一段と進み、退院から1ヶ月半でTARC、LDH、好酸球は基準値内となりました。
下肢や足の甲周辺の皮膚炎も落ち着き始め、退院から2ヶ月半経過時点では、指先に多少の炎症は認められるものの、ハリのあるしっかりとした皮膚が再生しています。
アメリカでもバイオ入浴が出来るよう、準備を整えていました。
検査データの見方は掲載症例の見方をご覧ください。
ドクターコラム
アメリカにお住いだった患者さんが帰国に合わせて入院なさった症例で、20年来の慢性期の全身の乾燥角化が5ヶ月間の入院・自宅療養で改善しました。
特に、足部の発赤腫大は長期間続きましたが、時間をかけた療養で本当にきれいになっています。
数年前から、当院やバイオ入浴の情報に注目していたとのことで、新型コロナの世界的なパンデミックが落ち着きはじめた時期を見て入院することとなりました。
近年、海外にお住まいの患者さんから入院に関するお問い合わせを頂いたり、実際に入院のお受入れをしたりすることが度々あります。
日本以外の国でバイオ入浴を実践する場合、循環装置の電源が100Vのため変圧器が必要になるケースが多いことや、日本のようなバスタブを備えたお風呂場が一般的ではないことなど、いくつかの課題はありますが、アトピー患者さんは世界中にいらっしゃいますので、これらの患者さんにも「バクテリアによる免疫変換」という症状改善への糸口を届けられるようにしたいと考えています。