治療の現場から
最強のステロイドを経験した男性 自宅脱ステを経て入院治療へ 症例:91
2025.04.03治療の現場から
20代 男性 入院期間2024年9月~12月 92日間入院
入院までの経緯
子どもの頃はアレルギー性結膜炎、鼻炎、小児喘息があったが、喘息は小学校高学年で吸入器を使用しなくて済むようになった。
20歳から一人暮らしをはじめ外食が多くなった。
23歳から膝周りに皮膚炎が生じるようになり近医を受診。
ストロンゲスト(最強ランク)のステロイド外用薬を塗布するようになった。
良くなったり悪くなったりを繰り返していたが、入院の約半年前から全身性に悪化。
ベリーストロングのステロイドを全身に塗布するも効果なく、仕事も困難になり入院での治療を希望した。
検査データの見方は掲載症例の見方をご覧ください。
入院後の経過
入院の約2ヶ月前からはステロイドを減薬、約1ヶ月前には手持ちのステロイドがなくなったため、入院時は外用薬を使用していない状態で入院なさったこの患者さん。
強いステロイドを使いながらも、中断後に重いリバウンド症状が生じなかったのは幸いでしたが、アトピー症状は顔を除く全身性で、特に下肢に強い皮膚炎が生じていました。
入院時の検査では、皮膚炎の程度を反映するTARCは1506と中等症レベルでしたが、アレルギー体質の程度を反映するIgEは32206、好酸球は29%と高値。ダニへのアレルギー反応も大変強く出ていました。
入院後はバイオ入浴も開始。数日後には全体的なカサツキの軽減や、四肢の傷の軽減を見て取ることができました。
しばらくは寝る前や夜間に痒みが強くなることが続きましたが、症状は日を追うごとに改善し、入院から約1ヶ月間でTARC598まで軽減。好酸球も14.7%と半減し、当院の入院治療でも低下するのには時間がかかることの多いIgEも減少しはじめました。
この頃からは他の患者さんとの交流も増え、気の合うメンバーでテレビゲームをしたり、院内のカラオケ設備(簡易的なものです)などで楽しんでいたりする場面も多く見かけるようになりました。
入院中の最後の血液検査となった入院から約2.5ヶ月の時期に実施した検査では、好酸球は基準値目前の7.7、IgEは入院時から約40%下がって19356と着実な改善が得られての退院でした。
昔から鼻炎が続いていたとのことで、IgEが高値である一因になっていたと考えられますが、今後自宅でのバイオ入浴でIgEがさらに低下すれば、鼻炎症状も軽減していくことが期待されます。
ドクターコラム
当院では以前から、患者さんの自己判断・自己流によるステロイド中止(自己流脱ステ)には警鐘を鳴らしてきましたが、それは自己流脱ステによって大変な状態にまで悪化して駆け込んで来る患者さんを数えきれないほど経験してきたからに他なりません。
※最近ではデュピルマブにおいてもステロイドと同様、無計画な中止後に症状が強く悪化したという患者さんがいらっしゃいます。
この症例患者さんの場合には激悪化しなかったものの、ケースによっては激しく悪化して身動きをとることが難しいほどになってしまうことすらあり、激しい悪化が生じる確率は、使っていたステロイドの強さや連用期間の長さに比例して高まる傾向にあります。
この患者さんは、一時期は最強ランク(ストロンゲスト)のステロイドを使用しており、その後もベリーストロングを使っていたとのことで、自己判断による減薬/断薬の過程で激しい悪化に見舞われなかったのは本当に幸いでした。
自己流脱ステでの激悪化を経験した者さんからは、「精神的にも肉体的にも追い詰められて苦しんだ挙句、『やっぱりステロイドを使わざるを得ないのか・・・』とお薬を再開することにした」という話しをよく耳にします。
ステロイドを使わずにアトピー性皮膚炎をコントロールしたいという患者さんの入院を主に受け入れている当院でも、入院直前までのステロイド使用歴によって強いリバウンド症状が見込まれる患者さんには、入院と同時にステロイドを中止するのではなく、入院中に徐々に減薬し退院までに非ステロイド(脱ステロイド)状態となるような治療プランを提案することがたびたびあります。
医学的な管理がされている入院環境下で、バイオ入浴による免疫バランスへのアシストを受けながら非ステロイド化を進めることで、自己流脱ステとは比較にならないほど非ステロイドでのコントロールは実現しやすくなるのです。