治療の現場から
アトピー入院 朝食がパンの日~アトピー食事療法~
2025.04.22治療の現場から
当院では、アトピー性皮膚炎の患者さんにはなるべく小麦製品の摂取を控えることをお勧めしていますが、習慣的に「朝食は絶対パン!」という患者さんも少なくないため、週に2日程度、朝食にパンを提供する日を設けています。
退院後の生活を見据え、なるべく体への負担を少なくパンを楽めるような知識や習慣を身につけるためのパンの日。
今回はパンの選び方、お勧めの食べ方などをご紹介します。
アトピーにパンが悪影響となりえる理由
【グルテン】
小麦に含まれるグルテンは消化が難しく、腸内環境が悪化して免疫(体調)に悪影響が生じる場合があります。
【油脂】
パンにはバターなどの油脂が含まれていることが多く、これらの油脂が体内での炎症を引き起こして、アトピー症状が悪化することがあります。
特にトランス脂肪酸を含む、マーガリンやショートニング、粉末油脂が使われている物は避けましょう。
【砂糖】
白砂糖は体内の炎症を促進させるため避けたほうが良いでしょう。特に菓子パンに注意です。
当院で提供しているパン
①国産小麦
輸入小麦は収穫後に防虫剤が散布(ポストハーベスト)されていることが多いので、国産小麦100%で作られているパンを選んでいます。
ちなみに、食品表示法上【小麦(国産)】という表示は、必ずしも国産小麦のみが使われているわけではありませんので、【国産小麦】又は【国産小麦100%】という表示の物を選びます。
②たまご、バターが不使用
カロリーやリノール酸を避ける観点から、このような基準を設けています。
当院では食パンを提供していますが、油脂を含まなかったり少量しか含まないフランスパンや食パンがお勧めです。
菓子パン、クロワッサン、デニッシュなどは、油脂を多く含むので向きません。
③白砂糖不使用
精製されていない砂糖(きび糖など)や羅漢果を使用しているパン屋さんから仕入れています。
④自家製天然酵母
工場で純粋培養されたイーストを使ったパンに比べ、乳酸菌をはじめとした多様な菌を含む天然酵母のパンは、味わいがあり過剰な味付けをしなくても楽しむことができます。
お進めの食べ方はオリーブオイルor亜麻仁油+塩!
トーストしてそのまま食べるのが好きな人もいますが、それだけでは物足りなく感じる人は、上記のように特定の油と塩を付けて食べてみてはいかがでしょうか?
「『油脂に注意』と言いながら油?」とお思いになるかも知れませんが、オレイン酸が主体のオリーブオイルや、オメガ3系脂肪酸を多く含む亜麻仁油なら悪影響は少ないので、それらと美味しい天然塩を少々つけて食べるのがお勧めです。入院食としてはジャムも提供しています。
腸内環境へのケア
それでもパンは小麦粉の摂取によって胃腸の負担にはなるので、発酵食品を一緒に摂って、腸内細菌をサポートするように心がけています。
※パンの日にはノンシュガーの豆乳ヨーグルトにチアシードを加え、オリゴ糖で甘味をつけて提供しています。
最近は米粉のパンを売るお店も増えてきましたので、グルテンで調子が悪くなるという自覚のある方は、米粉パンを選ぶのも良いでしょう。
今回はパンのことをご紹介しましたが、定期的に麺の日も設けていますので、今後ご紹介します。