治療の現場から

       

アトピー患者さんにお勧めしているお味噌汁特集~アトピー食事療法~

2024.12.24治療の現場から

日本が誇る健康食品の代表格と言っても過言ではない【お味噌汁】は、当院が入院患者さんに提供する食事でも定番のメニューです。

今回は、患者さんの日常に活かせるお味噌汁の作り方やその魅力を管理栄養士の木戸脇が、
記事の後半では、麹や酵母とアトピーとの関係を久保院長が解説します。

栄養士

管理栄養士の木戸脇

木戸脇からの提案

料理初心者の患者さんには、「まずはお味噌汁を作れるようになりましょう」とアドバイスしています。

アミノ酸や防腐剤を使っていない【本物の味噌】を選び、具材は野菜にキノコや海藻をプラスすれば、栄養満点で広範囲の栄養素を摂ることができます。

そこにタンパク質や緑黄色野菜が摂れる品を少し加えるなどすれば、バランスの良い献立を作るのは難しくありません。

味噌汁

具材や味噌の選び方

具材はそのために買うというより、冷蔵庫の残り野菜や買い置きの根菜などを適当にみつくろって使えば、食材の使い残しも減って一石二鳥です。

味噌は出汁などが入ったものは避け、無添加でなるべく伝統的な製法で作られているものを選びましょう。

ラベルに【手造りみそ】又は【天然醸造みそ】と書かれているものが良いと思います。

ちなみに当院では地元高山の味噌屋さんの味噌を特別に調合したものを使っていますが、優しい味わいが好評です。

味噌

具材選びのポイントを簡単にまとめると・・・

そのときにある野菜・使いやすい野菜を選べばOKですが、次のように考えるのもお勧めです。

ボリュームを出したい→カボチャ、サツマイモ、ジャガイモなど

タンパク質を摂りたい→豆腐、油揚げなどの大豆製品

食物繊維をプラスしたい→キノコ・海藻

他の料理に不足している物を補いたい→玉ねぎ、大根、キャベツ

また、出汁をイチから取る余裕がないときは、煮干の粉末や干し椎茸の粉末という方法もあります。

 

具材を入れるタイミング

キノコ類
→水から煮ると旨味が増すので最初から鍋に入れます

芋類、野菜など
→出汁が沸騰したら投入
切り方でもゆで時間が変わりますが、火が通るのに時間がかかる芋類、根菜から入れましょう。

豆腐・ワカメ(海藻)
→火の通りやすい海藻であれば味噌を混ぜた後に投入・豆腐もこのタイミングで
海藻は物によって硬さが異なるので適宜調整します。

味噌を入れるタイミング
→具材に火が通ったら、火を止めるか弱めてから味噌を加える
味噌の風味を損なわないよう、味噌を入れた後は煮立たせたりせず過熱を最小限にしましょう。

 

久保院長から麹について

発酵が完全に終わった味噌や醤油では問題が起きないと思いますが、アトピー患者さんは麹菌のような酵母の接種には注意する必要があります。

というのも、酵母(主にマラセチアやカンジダ)は黄色ブドウ球菌と並んで、アトピー性皮膚炎の2大抗原だからです。

過去には、酵母による発酵食品を売りにした飲食店に行ったところ、顔がバンバンに腫れてしまったという患者さんもいらっしゃいました。天然酵母や麹で発酵中の食品を口にしたため、腸管免疫が刺激されたのだと考えられます。

一般的に【発酵食品=健康に良い】という印象を持っている方は多いと思いますが、ことアトピー患者さんには、必ずしも当てはまるものではないのです。そのため、アトピー患者さんには塩麹や甘酒などを控えるようお勧めしています。

また、酵母入りの健康食品にも注意が必要で、特に亜鉛は皮膚炎の改善にも大切な栄養素ですが、多くの場合ミネラル含有酵母が使用されていますので注意が必要です。

なお、すべての発酵食品がアトピーに悪いという訳ではなく、無添加の味噌を適量摂ることが悪化要因にはならないことは長い治療経験の中で実感しています。

院長 久保 賢介 のプロフィール

院長

1957年4月3日 福岡県 北九州市出身
2001年10月 有床診療所ナチュラルクリニック21 開設
所属学会:日本アレルギー学会/日本心身医学会
15年間以上、アトピー性皮膚炎患者の入院治療にあたっている。

詳しいプロフィール 医師・スタッフ紹介

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