入院中の生活
入院中の一日の生活
入院生活の時間配分はそれほど細かくは定めていません。
食事や消灯、診察の時間を守りながら、患者さんが自分でリズムを組み立てバイオ入浴にも取り組んでいらっしゃいます。
仕事や家庭などで忙しい日常を送っている方にとっては、自分自身と向き合える貴重な機会になっているようです。
当院院長である久保医師は、高校時代に6ヶ月以上の入院生活を送り、高校3年生を3回経験をしていますが、この入院経験で人生観が変わり以後の人生が大変豊かになりました。
院長自身のこのような経験から、当院に入院される患者さんにもさまざまな機会や情報を提供したいと考え、体育館を借りてのレクリエーションや調理体験、映画上映会や外部から講師をお招きしての面白いレクチャー、農業体験といった患者さん向けのイベントを企画していて、これまで入院なさった患者さんには充実した入院生活が送れたと好評です。
また、当院は飛騨高山の自然に囲まれた環境にあるため、散歩や散策を楽しみになさっている患者さんもいらっしゃいます。
入院中の外出・外泊について
入院中の外出については院内でルールを設けており、衣類や日用品購入など、医師の許可した目的に限られます。詳細なルールは入院時に詳しくお伝えします。
なお、市街地(当院から数キロ)へ外出する場合については、電動自転車を貸し出していますので、ルールに従って使用して頂けます。
また、外泊は生命(医療)保険の給付が制限される場合などがあるため、原則的にはお控え頂いていますが、やむを得ない理由がある場合については許可する場合があります。
外出・外泊について、ご不明な点がある方は、必ず入院問い合わせの際にご相談ください。
入院中に身に付けて頂きたいこと
患者さんには入院生活を通じてアトピーの治療に大切な食事療法を学び、心理面のコントロールを身に付け、ライフスタイルを見直す機会にして頂きたいと考えています。
また、入院中のバイオ入浴は患者さんの自己管理で取り組んで頂いていますが、バイオ入浴に使用する加温循環装置の使い方やメンテナンスの方法を始め、バイオ入浴に関する様々知識をアドバイス可能です。
なお、洗濯などの身の回りの管理についても、患者さんご自身に行って頂きます。
退院後の生活について
入院で見違えるようにきれいな皮膚を取り戻しても、アトピー体質という免疫システムが根本から変わってしまうことはありませんから、バイオ入浴や食事療法をやめると再び悪化すると思って下さい。
中には、自宅でもバイオ入浴を一定期間続けた後、バイオ入浴を中断しても全くアトピー性皮膚炎が生じていないという方もいらっしゃいますが、やめたことによって再発し、再入院なさった患者さんも一定数いらっしゃいます。
また、例えバイオ入浴を自宅で継続していても、お酒の過飲や食生活の乱れ、スギ花粉やペット等の抗原によっても悪化する事があります。しかし、バイオ入浴を継続し食事面や心理面でも養生をしていれば、少なくともアトピー性皮膚炎の炎症は以前の数分の一にまでコントロールすることが可能です。
長期の入院が不安な方へ
重症のアトピー患者さんの中には、皮膚炎が原因で引きこもり状態となり、人付き合いにも不安があって、長期の入院が心配だという方がいらっしゃいます。 入院患者さんは、10代後半から30代の若い世代の方が大半で、重症の慢性アトピーの方が多く、皆さん様々な療法を試した末に当院へやってこられます。 大なり小なりのコンプレックスや、人間関係への不安を持っている方がほとんどですが、入院患者さん同士は共通の悩みを抱えていて話がしやすいようです。 憩いの場である食堂では、食事が終わっても患者さん同士のだんらんが続いたり、大きな笑い声が聞こえてくることもあります。 また、常勤カウンセラーによる個別カウンセリングのほか、患者さんを集めてのグループワークなどを通じて、患者さんのメンタルケアと良好なコミュニケーションに努めています。
長い間の皮膚炎で引きこもりになっている方には、心療内科的治療も併用し社会復帰を促します。
患者さんは症状が良くなっていくのにつれて気持ちが積極的になり、自信がわいて将来に明るい展望を持てるようになる方が非常に多くいらっしゃいます。
当院の看護スタッフは重症アトピー性皮膚炎の看護に習熟しており、的確なケア・アドバイスが可能です。
入院前の外来受診時には、院内を見学したり、過去に退院なさった患者さんからの沢山の感想文をご覧いただけますので、少しでも不安を減らして入院頂ければと思います。